月までヘリコプターで何日かかる?

 

「月までヘリコプターでどれくらいかかるの?」

 

先日、ある私立小学校での出張プラネタリウムのおわりに

子どもたちから質問がありました。

 

大人からは、ほぼ出てこないだろうな、という質問ですよね(笑)。

宇宙空間でヘリコプターは飛べない(はず)です。

とはいえ、じゃあ、ヘリコプターがとぶ仕組みを知ってるかというと

「そんなに知らないかも」

というのが近いかもしれません。

 

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ヘリコプターが飛ぶときには、

上、下、前、後

に4つの力がはたらいています。

上側のパタパタまわる「メインローター」を回転させつつ

その回転面の かたむき を変えて 飛んだりホバリングしたりします。

でも、これだけだと、ヘリコプター本体(人が乗るところ)も

メインローターにつられてまわってしまいます。

まっすぐ前に進む姿勢にするために、

後ろ側には「テールローター」があります。

 

そもそも、ヘリコプターが4つの力のバランスで飛ぶには

「空気」が必要です。 一般的なヘリコプターは

だいたい数100メートルの高さのところを飛んでいて

うんと上の方、空気がほとんどなくなってしまうような場所では

飛ぶことができなくなります

(日本航空高等学校のホームページによると

”1972年6月には12,442mのヘリコプター高度を記録”

した機体があるようです)。

 

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そんなヘリコプターが、今年4月、

なんと高度3万メートルにあたる薄い空気、

しかも「地球じゃない場所」で飛んだ!

というビッグニュースがありました。

 

「地球じゃない場所」は「火星」です。

 

よその惑星の上で飛行した、この史上初の大仕事をしたのは

NASA の小型ヘリコプター「インジェニュイティ」。

40秒ほど上にあがって、ぶじに着地しました。

NASAが公開した、初回の飛行の動画はこちら)。

その後も飛行テストは続いているようで

火星の探査が ますますおもしろいことになっています。

 

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さて、宇宙空間には空気がないので

ヘリコプターで月に行くことはできません。

けれど、ヘリコプターの「速さ」ならどれくらいかかるかな?

と考えることはできますね。

 

東京消防庁の「ゆりかもめ」という大きなヘリコプターの速さは

時速262キロメートル(最高速度は 時速324キロメートル)。

新幹線より少し遅いくらいでしょうか。

 

月までの距離は、およそ38万キロメートル。

38万キロメートルを 時速300キロメートルで ひたすら旅したら・・・

 

「2か月弱」

かかる計算になります。

 

月まで2か月の旅。

 

あなたなら行きますか?

(ところで 竹取物語のかぐや姫が乗って行った乗りものは

どれくらいの速さなんでしょう。実は超高速だったりして 笑)

 

ちなみに、人がさっさか歩いて行った場合には(時速4キロメートルとして)

だいたい 11年・・・。

生まれたばかりの赤ちゃんが 小学校5年生になりますね。

 

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広い世界をおおまかに計算して だいたいをつかんでみると

宇宙がちょっぴり身近に感じられることがあります。

 

さいごに、火星までヘリコプターで行ったら(宇宙空間を飛べるとして

その速度で移動したら)

どれくらいかかるでしょうか?

ぜひ おおざっぱでいいので 考えてみてくださいね。

火星までの距離は たとえば 2018年に地球にとても近いところを通ったとき には

5759万キロメートルでしたよ(参考:国立天文台のページ)。

 

参考:東京消防庁のヘリコプターのページ
  

・2022/01/26 文章一部修正