ハテナをあそびの中でみつけるために
「あれ?」「おや?」と思うことは
とても大切です。
すべてのチャレンジはそこからはじまります。
これを「科学の芽(※1)」ということもあります。
といっても、科学に興味のある人だけに関係することではなくて、
科学と技術にささえられた「現代人すべての人に必要な心もち」でもあります。
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スティーブジョブス、ピカソ、アインシュタイン。
ジョブスはコンピューターを個人が持てる時代を切りひらきました。
ピカソはアートの、アインシュタインは物理学の世界で
それまでの常識をひっくりかえしました。
私たちのまわりにも、
新しいことにチャレンジしたり、まわりを驚かせたり 楽しませたりして
人生を何倍にも生きているような人たちがいます。
彼らは、あたりまえ(既存のいろいろ)に
「あれ?」「それほんと?」と
立ち止まることができる人たち。
つまり、「ハテナさがしの名人」ともいえますね。
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ハテナさがしは、人生をゆたかにするだけでなく
現代の私たちが
科学の時代に かしこく しなやかに 生きていくために
大切なことでもあります。
たくさんの情報がとびかう中で
私たちは、検索すれば知りたいことはすぐにわかります。
遠い国の様子を知ることもできるし
誰かが作ったおもしろい動画を共有することも
オンラインゲームで離れた人と遊ぶこともできる科学の時代にいるのですね。
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いっぽうで、情報が洪水のように溢れているため
気を付けているつもりでも
「うっかり」 妙なフェイクニュースにだまされてしまう
フェイクまでじゃなくても
なんとなくメディアの空気に流されてしまう
なんてことは日常茶飯事です。
どれが本当で、信用できることなのかなあ。ウラには何があるのかなあ。
ということを、一人ひとりが判断しないといけない時代でもあります。
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また、現代は「先の見えない時代」ともいわれます。
新型コロナウイルスのパンデミック、ワクチンのあれこれ、
地球温暖化、科学と技術の飛躍的な進歩、世界の複雑化、等々。
先の見えない時代には、
誰かの指示や判断にしたがっているだけだと
どこに向かうかわかりません。
向かった先は、だれも責任をとってくれないものです。
この時代をかしこく生き抜くには、自分なりの「?」からはじまって
自分なりの判断がどうしても必要なのですね。
「こうしなさい」「こうしましょう」の空気に
はい、そうしようかな。
と流れていたら
「うっかり」全員でミスってしまうことも十分にありえます。
昭和初期の日本もそうでしたね。
同じミスは避けないといけません。
それぞれが、正しく判断するために、
まずは、現状に「あれ?」を持っておく。
自分なりに考えを深めておく。
目の前のこと(物や音や映像や匂いなどのすべての情報)に
ちょっと立ち止まるクセをつけるておくことは、
ちょっと面倒だけれど 本当はとても大切なことなのです。
そしてそれは、科学の時代には、科学に興味のある人だけじゃなくて
「全員に」
必要なことです。
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さて、「あれ?」「おや?」
に気づいたら、それを正しい方法で考えることも大切です。
「正しい方法」は「科学的思考」とか「批判的思考(クリティカルシンキング)」とかいわれます。
名称はともかく、自分の気づきを正しく使わないと
また妙なインチキにだまされてしまうことがあります。
たとえば、科学の顔をしたインチキ科学も、けっこうあります。
商品化もされてたりして、なんだかそれをつけると健康になる気がしたり
なにやらチカラのある人の話をきくと神秘的なパワーがもらえる気がしたり。
そういう「疑似科学(ぎじかがく)」は、私たちの日常に入りこんでいて
ちょっと楽しむ程度なら害はなさそうでも、
その”妙な考え方”に抵抗がないままだと
怪しげな商品を買ってしまったり
妙な思想にはまってしまったり
フェイクニュースにまんまとひっかかって
時には、情報操作にのっかって世論まで動いてしまうこともあります
(戦争がおきる時には情報操作はよくあることです)。
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「あれ?」「おや?」は大切な原石です。
台無しにしないためには、
原石をどうみがくかという
正しい手順を知っておくこともとても大切です。
手順は、たとえば理科という教科だけで
身につけるのはセンスがないとちょっと難しいともいわれます。
理科の知識を人間がどうやって手にしてきたか、という手順までは
科目では触れないことが多いからです。
日常に入り込むことも、教科ではちょっと難しい面もあります。
ならば、親子で日常の「あそび」のなかで身に着けてしまおう、
と新しくチャレンジしているのが
「ハテナ大学」です。
まずは「あれ?」がとても大切な気持ちですよ、
というのを知ってもらって、それから
「天文」「星」「宇宙」という
わりと多くの人がおもしろがってくれるテーマを軸に
ハテナをさがしたり 気づいたり 想像をふくらませたり
をたいせつにする時間をもちます。
「ハテナ大学」の第一回目が
もうすぐスタートします。
どんな会になるか、また後日ご報告したいと思います。
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(※1)「ふしぎだと思うこと これが科学の芽です よく観察してたしかめ そして考えること これが科学の茎です そうして最後になぞがとけるこれが科学の花です(『科学の花』(朝永振一郎 ノーベル物理学賞)科学者という仕事―独創性はどのように生まれるか:酒井邦嘉著、中公新書、p110、上野:国立科学博物館)