星のひかり(赤い星、青い星)

 

星は大きくわけて2種類 ある というお話しをしました。

 

太陽のように自分でかがやく天体を「恒星(こうせい)」といいます。

夜空の星たちは、金星や火星などわずかな惑星をのぞくと

ほとんどが恒星です

(視力に自信のある人は、アンドロメダ銀河など

ぼんやり広がった天体も見ることができます)。

 

都会の夜空は明るくて

たくさんの星を見ることはむずかしいですが、それでも

星には わずかに色のちがいがあることに気づくことができます。

 

白っぽい星 オレンジっぽい星 赤っぽい星

 

この色のちがいは、いったい何なのでしょうか。

 

* * * * *

太陽のような星には、一生があります。

宇宙空間のガスやチリがあつまって輝きがはじまって、

星の内部で、自分の材料をつかってエネルギーを生み出しながら

少しずつ「進化」していきます。

 

いいかえると

星には生まれた瞬間があって、

ひとときの寿命をおえて 宇宙に消えていく日もやってくる、ともいえます。

ただし「ひととき」といっても数千万年以上。

人間の時間とくらべたら 永遠に近い時間ですけれどね。

 

恒星がどれくらい宇宙にいられるか

つまり「恒星の寿命」はどれくらいか、

というのは、誕生したときの体重で決まります。

誕生時にどれくらい重たかったか、で

その先の運命が決まってしまうのです。

 

 

さて、恒星の色のちがいは、その星が若いか年寄りか、というのと関係があります。

恒星の「若い」「年寄り」は、

「○○歳」という意味ではなくて

若いほど表面の温度が高くて、歳よりほど低い、という

恒星の進化の段階を意味しています。

 

たとえば、しし座(お誕生日星座のひとつです)の「レグルス」という星は

青白っぽい恒星です。

まだ若くて、エネルギッシュにぎらぎらとかがやいています。

表面の温度がとても高くて(1万3000度)、そのため

青白い色に見えています

(色と温度の関係は またいつかお話ししましょう)。

 

うしかい座の1等星「アークトゥルス」は

オレンジっぽくかがやきます。

さっきの「レグルス」より、進化がすすんで星の構造がちょっとかわっています。

表面の温度が 4200度 とさがっていて

そのためオレンジっぽく見えています。

 

冬の冷たい夜空にで大きく輝くオリオン座には

とても赤い星があります。

「ベテルギウス」です。

ベテルギウスは、さらに進化が進んで

表面の温度が 3400度 にまで下がっている恒星です。

 

こんど夜空に星をみつけたら、淡い色のちがいをさがしてみてください。

白っぽい星は 元気いっぱい

赤っぽい星は 宇宙に還る準備に入っている・・・

 

* * * * *

さて、私たちの太陽も恒星です。

誕生したのは、いまから46億年ほど前のことです。

寿命はおよそ100億年。

今は、寿命の中盤あたりです。

はたらき盛りの中年、といったところでしょうか。

表面の温度はおよそ6000度です。

 

その太陽も

いずれは宇宙に消えていく日がやってきます。

 

消えるより前の段階、

かがやくための材料である太陽中心にある「水素」がなくなってくると

太陽はしだいに

ぶよぶよと大きくふくらんでいきます。

 

数十億年後には今の地球のあたりまで

ふくらんでくると考えられています。

 

太陽のその後は、中心部の芯だけが余熱で光りながら

しだいに輝きを失っていきます。

白色矮星(はくしょくわいせい)、という太陽クラスの重さの恒星の最期の姿です。

 

太陽がふくらむ途中で

地球は呑み込まれるか、ぎりぎりセーフか

さまざまな説がありますが

呑み込まれないにしても

すっかりカラカラに干からびてしまうことには違いありません。

 

その遠い未来に

もしも地球文明が生きのびていたとしても

もしも文明の痕跡だけでも残っていたとしても

それらは太陽の寿命とともに

宇宙から永遠に消えていきます。

 

宇宙に存在し

恒星とともに生まれた惑星に暮らすものたちは

恒星の宿命に逆らうことはできないのです。

 

* * * * *

明日も太陽が昇り

世界を照らし

大きな夕日として沈んでいく

それは、私たちが土に還ったあとも延々とつづきます。

 

けれど、その風景でさえ

138億年の宇宙の歴史、

46億年の太陽の生い立ちと50億年の余命のなかでも

太陽が安定しているわずかの間だけのはなしです。

 

*『夜、寝る前に読みたい宇宙の話』*

2024/06,07 一部修正