星にも一生があります。
ここでいう星は
太陽のように 自分でかがやく天体(恒星 こうせい)です。
星はひたすら かがやきつづけて
やがて 年をとり
宇宙に還っていくときが やってきます。
星の「死」と表現することもあります。
その星が どんな最期をむかえるかは
うまれたときの体重で決まります。
太陽くらいのおもさの星は
芯だけが余熱でひかりながら
だんだんと冷えて
二度とかがやくことのない天体
白色矮星(はくしょくわいせい)
になります。
太陽より うんと重たい星
たとえば10倍以上重いような星は
一生の最期に
大爆発(超新星爆発)をおこす
と考えられています。
爆発の後、中心には
中性子星(ちゅうせいしせい)やブラックホールが
のこるとされます。
* * * * *
どんな最期だとしても
星は もとの姿をなくします。
太陽も例外ではありません。
死にさいして
星は 姿かたちとひきかえに
星のなかでつくった たくさんの材料を宇宙空間に残していきます。
残された材料たちは
長いあいだ 宇宙をただよい まざりあい
また新しい星たちに うまれかわります。
その星も やがて年をとり 宇宙に還ります。
* * * * *
138億年前に 宇宙がはじまって
最初の星がうまれたそのときから
星の生と死は
宇宙のあちこちで 何度となくくりかえされてきました。
* * * * *
今から 46億年前
その流れのなかで 私たちの太陽も生まれました。
太陽もまた それ以前に生まれて消えていった
先代の星くずから生まれたのです。
太陽のまわりには惑星がまわりはじめ、
やがて
3番目のところをまわっていた
ちいさな天体の上には
これまた ちいさないきものが姿をあらわします。
* * * * *
いきものたちは リレーをはじめました。
命のバトンリレーです。
ひたすらバトンをわたしつづけ、
40億年のあいだ
何度も窮地(きゅうち)におちいりながら
それでもなんとかリレーをつなぎました。
地球という ちいさな天体の上で
おびただしい生と死が 延々と続いたその先に
私たちがいます。
今生きている あなたの体もまた
宇宙の物質、かつての星たちが残していった
材料でかたちづくられています。
いつか私たちが土に還る日もやってきます。
それでもこの世界はつづいてゆき
太陽が死に向かう数十億年後
ようやく私たちのかけらも宇宙に還ります。
そうやって 宇宙の循環のなかで
私たちは 遠い未来の世界で
あたらしい星の材料になっていくのでしょう。
* * * * *
宇宙を知る、ということは
「宇宙の神秘を解き明かしたい」
という 人間の知的な欲求です。
それと同時に
「私たちは いったいどこからやってきたのかなあ」
「何者なのかなあ」
「どこへいくのかなあ」
と自身の存在を問う
奥の深い営みでもあります。
星からつながったいのちが
こうして 世界のすがたや 自身の存在まで考えているのです。
* * * * *
さて、さいごにもうひとつ。
星からつながる この地球での命のバトンリレーは
人間だけのものではありません。
宇宙スケールでものごとをとらえると
大切なことに気づくきっかけにもなります。
2021/08/05 写真追加
2021/08/17 写真追加